三重テレビ『ゲンキみえ生き活きリポート』2019年4月14日

熊野市を拠点に移動スーパーを行っている『移動スーパーはじ丸』!
経営を行う西川さんは、もともと魚の干物などの加工品の出張販売をしていたが、行く先々で、魚以外の商品も持ってきて欲しいという声が多くあり、また買い物難民が身近にいる事実も知り、それならばと移動スーパーを昨年の春からはじめました!

鬼ヶ城の近く、熊野市二木島。
過疎化、高齢化が進む三重県南部の地域で、いま人気のスーパーがあります。
『移動スーパーはじ丸』。
新しい出会い、新しいチャンスがはじまる・・・そんな期待を込めてつけられた名前のお店です。

 

2017年4月、熊野に本部を置く小さな会社が、移動スーパーをはじめました。
現在の移動販売車は3台。
5人のスタッフで切り盛りしています。

 

『移動スーパーはじ丸』代表取締役の西川武志さんに、この事業を始めたきっかけについてお聞きしました。

「最初は干物などの加工品を中心に移動販売をしていましたが、お客さんから扱っている商品以外の要望があまりにも多く、気づいたら移動スーパーという形になっていました。
みなさん本当に買い物に困っていたというのが現状ですね」

 

朝7時のはじ丸本部。
一番忙しい時間です。
自社の加工工場で製造されたお弁当やお惣菜、そして熊野市内の問屋さんや松阪の市場から届けられた商品を、次々に移動販売車に積み込んでいきます。
待っているお客さんがいるので遅れるわけにはいきません。

行先の地域のお客さんの要望を聞いた商品を載せているため、ルートによって販売する商品も変わるそうです。

 

朝から電話も鳴り響きます。
自社で作っている、郷土料理のサンマ寿司や海苔巻きなどの予約注文、牛乳やパンの注文や取り置きなどの電話が毎日あり、決まった時間に配達しに行くそうです。

 

お客さんとのやりとり、コミュニケーションが何より大切だという移動スーパー。
商品の予約だけでなく、開店場所のリクエストにも可能な限り応えるそうです。
3台の移動販売車は、毎日コースを変えて走ります。
少しでもたくさんの地域を回り、困っている人に商品を届けようとしているのです。

 

午前9時、富塚江津子さんが運転する移動販売車がこの日まわるのは、熊野市内と御浜町。
あるポイントで音楽を鳴らしはじめました。
移動スーパーの到着、オープンの合図です。

 


そしてポイントに到着すると、扉を開けてあっという間にオープン。
それと同時にお客さんがやってきました。
みなさんは、富塚さんがやってくるのを心待ちにしていたようです。

 

続いての開店場所は、海が見える港のそば。
こちらも大盛況。
1台の移動スーパーが1日に営業するのは、なんと30ヶ所以上。
生活に直結する食材を販売しているだけに、決められた時間、決められた場所での開店を最優先にしているといいます。

 

「今日買ったのは豆乳。
みんな高齢なので、移動スーパーが来てくれると便利です」

「買い物する場所もないし、出ていくのも大変なので助かっています。
ましてや病気やケガをして動けない時は、持ってきてくれるから本当にありがたいです」

「商品が新しいし感じもいいですね。
ほしいものがない時は次来るときにお願いすると、持ってきてくれるので何でも言いやすいです」

お客さんにとってはかけがえのないお店のようですね。

現在、移動スーパーはじ丸が回っているのは、北は大紀町から、南は御浜町まで。
3台の車両でローテーションを組んで回っています。
しかし、うちの近くにも来てほしい、という地域のニーズは増える一方。
その声に応えるため、新コースの調査、開設準備もしているそうです。

 

午前中に10ヶ所まわって、ようやくお昼。
昼食もほとんど車内でいただきます。
目立つところで食べていると、声掛けてお客さんが買いに来るので、誰もいないところで静かに食べて休憩をとるのだそうです。

「人と人の繋がりなので、お客様もとても気を遣ってくださって、暑い時は『倒れたらあかんよ』って塩飴をくださったりします。
また、前回なかった商品を私が覚えていて、次回持って行くととても感謝されたりするのが嬉しいですね。
一回一回で終わりではないですね、ずーっとのお付き合いという感じです」

と、富塚さん。

大切にしているのは、人と人とのつながり。
しかし、増える地域のニーズに対し、スタッフが集まらないのが大きな課題だといいます。

 

お昼休憩後も午後4時まで、移動スーパーはじ丸は、お客さんが待つ地域を走り回ります。

「これからは本当に御用聞きのような形になっていくと思います。
お客様が困っていることを助け、ニーズに応えるというのが、うちの仕事です。
三重県だけではなく、買い物に困っている人たちが全国に800万人ほどいると言われているので、少しでも買い物に困られているお客様のお手伝いができればというのと、地元の人が働ける環境を作ることを目指して、がんばっています」

と、西川さん。

不便なところに便利を。
足りないものをお届け。
移動スーパーが届けているのは、それだけではありません。
人と人とのつながり、気持ちをつなぐ架け橋でもあるのです。